山形方人 Masahito Yamagata, PhD

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Nanobody (臨床免疫・アレルギー科)

月刊誌 臨床免疫・アレルギー科第73巻第3号(2020年3月発行)p. 329-335 に話題「Nanobody」の総説を書きました。

「免疫グロブリンは重鎖と軽鎖からなっているが、ラクダ、リャマ、アルパカ、サメには重鎖のみでできた免疫グロブリンが見られる。この重鎖抗体は可変領域だけで抗原と結合することが可能で、その小さな単一ドメインはナノボディ(またはVHH)と呼ばれる。アミノ酸配列で定義され、組換えDNA操作により結合特異性を多彩に変更させることができるナノボディは、RNA配列で基質特異性をデザインできるCRISPR/Cas9などと同じように、「プログラミング可能なタンパク質」として合成生物学の汎用性の高いツールになっていく可能性がある。ナノボディは、通常の免疫グロブリンと同様、免疫生化学的解析や組織化学等に利用でき、診断薬として活用できる。また、細胞内環境においても抗原と結合できる細胞内抗体として発現させることで、基礎細胞生物学研究でも利用されている。更に次世代の抗体医薬などとしても注目されている。本稿では、ナノボディの特徴とその有用性について概説する。」

 

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