山形方人 Masahito Yamagata, PhD

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脳科学辞典「シナプス形成」

日本神経科学学会の事業「脳科学辞典」に「シナプス形成」の項目を書きました。

bsd.neuroinf.jp

神経細胞とその相手の細胞(神経細胞、筋肉など)は、シナプスという特殊化した細胞接着構造で結合している。シナプス形成とは、神経回路形成において、機能するシナプスができあがるまでの過程である。化学シナプスの形成には、1) シナプス前部(通常は軸索)が、シナプス後部(神経細胞の樹状突起、筋肉など)となる適切な標的細胞の適切な細胞上の適切な位置に結合すること(シナプス特異性)と、2) シナプス前部と後部がシナプス間隙を介して同じ場所に配向して、シナプス前部にシナプス小胞や分泌装置の蓄積、シナプス後部に神経伝達物質受容体の集合やシナプス後肥厚が生じるということ(シナプス分化)がある。シナプス形成は、シナプス前部とシナプス後部の間の相互作用によって制御されており、このような細胞間相互作用を担うシナプス接着分子、細胞外マトリックス分子、更に分泌性因子が同定されている(シナプスオーガナイザー)。また、グリア細胞など神経細胞以外のプレーヤーの関与も重要である。

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